囲い込み問題の実態」で囲い込みとは何かを解説したが、この記事では「自分の物件が囲い込まれていないか」を確認する具体的な方法を紹介する。業者の善意を信じるだけではなく、売主自身が定期的にチェックすることで、被害を未然に防げる。

囲い込みのおさらい

囲い込みとは、媒介契約を結んだ不動産会社が、他社からの問い合わせや紹介を意図的に遮断する不正行為だ。目的は「両手取引」——自社で買い手も見つけて売主・買主の両方から手数料を取ること。

囲い込みの手口

  • 他社からの問い合わせに「商談中です」と虚偽回答
  • レインズのステータスを勝手に「商談中」「紹介受付停止」に変更
  • 内覧希望を「売主の都合で案内できない」と断る
  • 自社の買い手が現れるまで他社を排除

囲い込みされると、買い手の分母が自社顧客だけに絞られ、売却期間が長引き、結果的に相場以下での売却に追い込まれる。売主にとっては完全に不利な行為だ。

確認方法1:知人からの覆面問い合わせ

最も確実で効果的な方法が、知人や家族に頼んで別の不動産会社から問い合わせてもらうこと。

手順

  1. 知人・家族に頼む(できれば別の氏名・別の携帯番号で)
  2. その人がSUUMO・HOME'S等で自分の物件を見つけて問い合わせ
  3. 掲載している不動産会社ではなく、別の業者経由で問い合わせてもらう
  4. 別業者から、元の担当業者に問い合わせが入る
  5. 返答内容を知人から聞く

見分けるサイン

返答内容判断
「ご案内可能です」「いつでも」正常、問題なし
「商談中です」売主が「商談」を聞いていないなら囲い込みの疑い
「売主の都合で案内できない」売主に確認を取っていないなら虚偽
「資料はお渡しできない」紹介する気がない、囲い込みの兆候
「直接弊社経由でご紹介を」他業者を排除しようとしている典型

「商談中」「売主都合」と返答されたのに、売主自身がそれを知らされていない場合、ほぼ確実に囲い込みだ。

確認方法2:レインズ売主専用確認サイト

レインズに正しく登録されているか確認する方法」で解説した売主専用確認サイトで、ステータスを定期的にチェックする。

警戒サイン

  • 売主が知らないうちに「商談中」になっている
  • 「紹介受付停止」ステータス
  • 担当者からの「商談中の買い手」に関する具体的報告がない

週に1回程度のペースでステータスを確認することで、囲い込みの兆候を早期発見できる。

確認方法3:週次報告の精査

専任媒介・専属専任媒介では、書面での営業報告義務がある。その報告内容を厳密にチェックする。

チェック項目

  • 他社からの問い合わせ件数: 毎回ゼロなら異常
  • 内覧件数: 全て自社顧客からか
  • 広告活動内容: 具体的な媒体・予算が記載されているか
  • 今週の活動予定: 具体的な計画があるか

報告書の不備パターン

  • 「引き続き販売活動を行います」だけの定型文
  • 数字(PV・問い合わせ・内覧)が一切記載されていない
  • 内覧があったのに「自社の顧客」としか書かれていない(他社経由がない)

確認方法4:他社への直接問い合わせ

自分で別の不動産会社に電話して、「○○マンションの物件を売りに出しているんですが、買い手の候補はありますか?」と聞いてみる方法もある。

  • 「レインズで見ましたが、商談中と表示されています」と言われたら囲い込みの可能性
  • 「その物件の情報が入っていません」と言われたら、そもそもレインズ未登録の疑い
  • 「ご紹介可能です」と言われたら正常

確認方法5:ポータルサイトの掲載状況

自分で SUUMO・HOME'S・at home 等を検索し、自分の物件が表示されるか確認する。

警戒サイン

  • 契約している会社のみが掲載、他社は掲載していない
  • 掲載サイトが1つだけ
  • 写真が少ない、物件情報が不十分
  • 「お問い合わせは○○社まで」と窓口が絞られている

他社が自由に掲載できない状況は、情報共有が止められている証拠だ。

囲い込みのサインをまとめる

チェック項目正常異常(囲い込みの疑い)
他社からの覆面問い合わせ「案内可能」「商談中」「不可」
レインズステータス「公開中」「商談中」「紹介受付停止」
週次報告の他社問い合わせ数件はある毎回ゼロ
内覧客の出所他社経由もあり全て自社顧客
ポータル掲載複数社が掲載1社のみ

囲い込みの疑いが濃厚な場合の対応

ステップ1:直接確認

担当者に対して、具体的な証拠を提示して問い詰める。

  • 「知人が問い合わせたら『商談中』と言われました。商談中の買い手は誰ですか?」
  • 「レインズで商談中表示になっていますが、契約しているのですか?」
  • 「他社からの問い合わせが毎回ゼロなのはなぜですか?」

ステップ2:書面での改善要求

口頭での問い合わせで改善されない場合、書面で「囲い込みの疑いがあるため、今後の営業活動について以下を徹底してください」と要求する。

  • 他社からの問い合わせをすべて受け入れる
  • レインズステータスを「公開中」に維持する
  • 週次報告に他社問い合わせ件数を記載する
  • 内覧依頼は必ず売主に伝える

ステップ3:媒介契約の解除・会社変更

改善されない場合、媒介契約を解除して別の会社に変更する。媒介契約の契約期間中でも、業者側の債務不履行(囲い込み)を理由に解除可能だ。

ステップ4:監督官庁への報告

悪質な場合は、不動産業者の免許を出している都道府県知事または国土交通大臣に報告する。業者指導や行政処分の対象になる可能性がある。

一般媒介への切り替えという選択肢

囲い込みを防ぐ構造的な対策として、一般媒介契約を選ぶ方法がある。複数の不動産会社と契約することで、1社が囲い込みをしても他社が買い手を探してくれる。

一般媒介のメリット

  • 囲い込みの構造的リスクを回避
  • 複数社の競争原理が働く
  • 売主に選択権が残る

一般媒介のデメリット

  • レインズ登録義務がない
  • 各社の動きがバラバラになる
  • 担当者が積極的に動かない(他社に決められるリスク)
囲い込みは法的にグレーゾーンとされているが、宅建業法の「誠実義務」には明確に反する行為だ。売主の利益を害し、業界全体の信頼を損なう。売主自身がチェック姿勢を持つことで、不動産会社も「この売主は監視している」と認識し、不正の抑止力になる。「疑っていなくてもチェックする」——これが売主の正当な権利だ。

まとめ——「信頼しつつ、検証する」

囲い込みは、売主が黙っていると進行する不正行為だ。「覆面問い合わせ」「レインズ確認」「報告書精査」の3つを組み合わせてチェックすることで、囲い込みの兆候を早期発見できる。疑いが濃い場合は即座に対応し、改善されなければ会社変更を躊躇しない。売主の自衛が最大の対策だ。

この記事のまとめ

  • 囲い込みは両手取引狙いの不正行為、売主に明確に不利
  • 確認方法は「覆面問い合わせ」「レインズ確認」「報告書精査」「他社直接問い合わせ」
  • 「商談中」表示を売主が知らないのは囲い込みの典型サイン
  • 他社問い合わせゼロが続くのも異常
  • 疑いが濃ければ即座に会社変更を検討
  • 構造的対策として一般媒介契約も選択肢